水をたくさん飲むと肌に良いのは本当？

「水をたくさん飲むと肌がきれいになる」という話を聞いたことはありませんか。

美容に関心のある方なら一度は耳にしたことがあるこの情報ですが、本当に水を飲むだけで肌の状態が改善するのでしょうか。

人間の体は約60%が水分でできており、肌細胞も例外ではありません。

十分な水分が体内に供給されることで、血液の流れがスムーズになり、肌に必要な栄養や酸素が行き渡りやすくなるのです。

また、水分不足は肌の乾燥や老廃物の蓄積を招き、くすみやシワ、ニキビなどのトラブルの原因になります。

つまり、適切な水分補給は外側からのスキンケアと同じくらい、いえそれ以上に重要な「内側からの美容ケア」といえるでしょう。

とはいえ、ただ水を飲めば良いというわけではありません。

飲む量やタイミング、水の種類など、効果的な方法を知ることで、より美肌効果を実感しやすくなります。

本記事では、水と肌の関係性について科学的な視点も交えながら詳しく解説し、今日から実践できる水分補給の方法をご紹介しますよ。

水分補給が肌に与える4つの美肌効果

水をたくさん飲むことで得られる肌へのメリットは数多くあります。

ここでは特に注目したい4つの美肌効果について詳しく見ていきましょう。

肌に栄養が届きやすくなる

水分をしっかり摂取すると、血液の量が増えて血液中の水分濃度が高まります。

その結果、サラサラとした流れやすい血液になり、体全体の血流が改善されるのです。

血液は酸素や栄養素を全身に運ぶ役割を担っているため、血流が良くなることで肌細胞にも必要な栄養がスムーズに届くようになります。

逆に水分が不足すると、血液はドロドロの状態になり、栄養が肌まで十分に届かなくなってしまいます。

その結果、肌荒れやくすみの原因になるのです。

十分な水分補給によって血流を改善することは、健康的で輝く肌を保つための基本といえるでしょう。

体の老廃物がスムーズに排出される

水には体内の老廃物や毒素を排出するデトックス効果があります。

水分を十分に摂ることで、尿や汗として不要な物質が体外に排泄されやすくなるのです。

また、リンパの流れも改善されるため、老廃物の排出機能が活性化されます。

老廃物が体内に溜まると、毛穴が詰まってニキビや吹き出物が発生しやすくなりますし、代謝が滞ることで肌のくすみやシミの原因にもなります。

水をたくさん飲むことで老廃物の蓄積を防ぎ、クリアで健康的な肌状態を保つことができるのです。

さらに、水分補給は便秘の解消にも効果が期待できます。

便秘は肌荒れの大きな原因の一つですから、水を飲むことで腸内環境を整えることも美肌につながりますよ。

肌のターンオーバーが正常化する

肌は常に新しい細胞が生まれて古い細胞が剥がれ落ちる「ターンオーバー」というサイクルを繰り返しています。

このターンオーバーの周期は通常28日程度とされており、このサイクルが正常に機能することで、ハリのある健康的な肌が保たれるのです。

水分が不足すると、古い角質が十分に剥がれ落ちず、肌がゴワゴワと荒れた状態になってしまいます。

逆に水をたくさん飲むことで細胞に十分な水分が供給され、ターンオーバーが活性化されるのです。

新陳代謝が促進されることで、ハリツヤの失われた古い角質が老廃物として排出され、うるおいのある新しい細胞が表面に出てきます。

その結果、透明感のある美しい肌を保つことができるでしょう。

肌の乾燥を防ぐ

肌の最も外側にある角質層は、天然保湿因子やセラミドなどによって水分が保たれています。

水を飲んで体の内側から水分を補給することで、肌細胞にもうるおいがプラスされるのです。

内側からも十分に保水することで、うるおいたっぷりの肌になります。

乾燥肌の方は、水を飲むことで乾燥悩みの改善が期待できますよ。

肌の乾燥は、シワやたるみ、キメの乱れなど多くの肌トラブルの原因となります。

また、乾燥が進むと肌のバリア機能が低下し、外部からの刺激や紫外線によるダメージを受けやすくなってしまいます。

水分補給によって肌の水分バランスを保つことは、弾力やハリのある美しい肌を維持するために欠かせません。

特に乾燥しやすい冬場やエアコンの効いた室内では、意識的に水を摂ることが重要です。

美肌効果を実感できるのはいつから？

水を飲み始めてから肌の変化を実感できる期間には個人差がありますが、一般的な目安をお伝えしましょう。

多くの方が数日から1週間程度で、トイレの回数が増えたり、お通じがスムーズになったりといった初期変化を感じることが多いです。

肌に関しては、ターンオーバーの周期が約28日であることから、肌質の改善を実感するまでには数週間から1か月程度かかると考えられます。

最初は化粧ノリが良くなった、日中の乾燥を感じにくくなったといった小さな変化から始まることが多いでしょう。

ただし、すぐに効果が出なくても焦る必要はありません。

体調や生活習慣、もともとの肌質によって変化のスピードは異なります。

大切なのは、一時的ではなく毎日の習慣として続けることです。

「美肌は1日にしてならず」という言葉があるように、良い肌状態を維持するためには地道な努力を積み重ねることが重要なのです。

目標量を決めたり、記録をつけたりすることで、無理なく習慣化できますよ。

美肌効果を高める正しい水の飲み方

水を飲む際には、ただ量を増やせば良いというわけではありません。

効果的な飲み方を知ることで、より美肌効果を高めることができます。

1日に必要な水分量の目安

1日に必要な水分量の目安は、一般的に食事以外で約1.5リットルから2リットル程度といわれています。

これは成人が1日に排出する水分量から算出された目安量です。

ただし、これはあくまで目安であり、個人の体重や活動量、季節や気温によって変動します。

体重が多い方や運動量が多い方、夏場など汗をかきやすい時期には、さらに多めの水分補給が必要になるでしょう。

自分の体重を30で割ったリットル数が適量という考え方もありますので、自身の状態に合わせて調整することが大切です。

また、体が一度に吸収できる水分量には限りがあるため、一度に大量の水を飲んでも良い効果は期待できません。

効果的な水分補給のタイミング

美肌効果を高めるためには、水を飲むタイミングも意識するとよいでしょう。

起床時に水を飲むと、睡眠中に失われた水分を補給できるだけでなく、血流が良くなり全身の機能が活発になります。

胃腸も刺激され、便秘解消にもつながるでしょう。

運動前後の水分補給は、発汗により失われる水分を補い、脱水を防ぐために重要です。

入浴前後にも水を飲むことをおすすめします。

入浴による発汗で失われる水分を補うとともに、血行促進効果も高まり、肌荒れの改善につながります。

就寝前にコップ1杯程度の水を飲むことで、睡眠中の乾燥対策になりますよ。

そのほか、喉が渇いたと感じる前に意識して水分を摂ることが大切です。

喉の渇きは、すでに体が水分不足の状態になっているサインだからです。

こまめに少量ずつ飲むことが大切

理想的な飲み方は、30分ごとに一口飲むことや、コップ1杯程度の水を1日8～10回に分けて飲むことです。

のどが渇いてから一度に大量に飲むのは、美肌を目指す水分補給としてはおすすめできません。

一度に大量の水を摂ると、腹部が膨満感でいっぱいになり食欲が減退する可能性がありますし、排尿頻度が増えて睡眠の妨げになることもあります。

また、体が一度に吸収できる水分量には限界があるため、余分な水分は排出されてしまうのです。

こまめな水分補給は、体内の水分バランスを保つだけでなく、代謝を促進しやすくする効果もあります。

デスクワークの方は、デスクの上に水を置いておく習慣をつけると良いでしょう。

美肌におすすめの水の種類

基本的に、美肌のための水分補給は水道水や市販のミネラルウォーターで十分です。

ただし、水の種類によって特徴があるので知っておくと役立ちますよ。

軟水と硬水の違い

ミネラルウォーターは、カルシウムやマグネシウムの含有量によって軟水と硬水に分類されます。

軟水は硬水よりもミネラル含有量が少なく、まろやかな口当たりで飲みやすいのが特徴です。

日本人が飲み慣れているのは軟水で、体内に水分が吸収されやすいため、水分補給に向いています。

料理やお茶にも最適ですよ。

硬水はマグネシウムが多く含まれており、ミネラル補給には最適な飲料水です。

マグネシウムは便秘解消も期待できるため、肌荒れ防止や改善にも向いています。

ただし、硬水を飲み過ぎると下痢になることもありますし、苦味やにおいがあるため飲みにくいと感じる方もいるでしょう。

肌への影響を考えるなら、一般的にミネラル分の少ない軟水の方が肌に優しいといわれています。

常温の水と白湯の効果

水を飲む際の温度も意識してみましょう。

常温または冷ました白湯がおすすめです。

冷たすぎる水は体内を冷やしてしまい、内臓が冷えると新陳代謝を低下させてむくみの原因にもなるのです。

また、冷たい水は分子が大きいために肌の細胞膜へ吸収されにくく、新陳代謝が悪くなってしまいます。

白湯は水道水を沸騰させたもので、塩素などの不純物を除去した体のバランスを整える飲料水です。

胃腸の調子の改善、血流の促進、老廃物の排出がスムーズに行われるなど、たくさんのメリットがあります。

肝臓への負担を軽減したり、ホルモンの分泌をアップさせたりする効果も期待できますよ。

白湯はコスト面でも安全面でも優れた選択肢といえるでしょう。

飲む際は、自分の飲みやすい温度に冷ましてから飲んでも問題ありません。

水を飲む際の注意点とNG行為

美しい肌を作るためには、水分をたくさん取れば良いというわけではありません。

正しい方法で水分補給を行うことが重要です。

一度に大量に飲むのはNG

短時間に大量の水を摂取すると、体内の電解質バランスが崩れて水中毒を引き起こす可能性があります。

主な症状としては、めまいや頭痛、吐き気、多尿などがあげられます。

悪化すると意識障害や呼吸困難などの症状が現れることもあるのです。

また、一度に大量に飲むとむくみの原因になったり、腎臓に負担をかけたりすることもあります。

特に腎臓の機能が低下している方や特定の疾患がある方は、医師に相談のうえで適切な水分量を守ることが重要です。

やみくもに大量の水を飲むことは避け、自身の体調を見ながら適量を心がけましょう。

冷たすぎる水は避ける

冷たい水は内臓を冷やし、代謝を低下させる可能性があります。

体温が下がると、肌のターンオーバーも遅くなってしまうのです。

冬場は常温でも冷たすぎることがあるので、その場合は少し温めてから飲むのが良いでしょう。

ただし、夏場の暑い日や運動後など、体温が上昇しているときには、クールダウンのために冷たい水が適している場合もあります。

自身の好みや体調にあわせて、心地よく飲める温度の水を選ぶことが大切です。

カフェイン飲料は水分補給に不向き

コーヒーや緑茶、紅茶などのカフェイン飲料には利尿作用があるため、飲みすぎるとむしろ飲んだ量以上に水分を体外に排出してしまいます。

カフェイン飲料で水分補給をしているつもりでも、実際には水分不足になっている可能性があるのです。

また、糖分を含むジュース類を飲みすぎると、エネルギーとして消費できなかった糖質が水分と一緒に体内に溜め込まれてしまい、むくみの原因になります。

野菜ジュースやフルーツジュースといっても、糖分が含まれている商品もたくさんあるので気をつけてください。

塩分を含むみそ汁やスープなどを大量に摂取することも、むくみの原因になります。

美肌や健康のための水分補給の基本は、水が適切であると理解しましょう。

カフェインを含まない麦茶やハーブティーなどは摂取しても問題ありません。

水と肌に関するよくある質問

水道水でも肌によい効果はある？

日本の水道水は厳しい水質基準に基づいて管理されているため、基本的には飲用しても肌に直接的な悪影響を及ぼすことは少ないと考えられます。

コストを抑えたい方には、手軽な水分補給の選択肢となるでしょう。

ただし、地域により水質に違いがあったり、水道管の状態で微量の不純物が含まれていたりする可能性も否定できません。

肌が敏感な方や水道水の味が気になる方は、浄水器を使用したり、一度沸騰させて冷ましたりといった工夫を試してください。

水を飲むと肌が白くなる？

水を飲むことは、肌の健康を内側からサポートし、ターンオーバーの正常化や血行促進を通じて、間接的に肌のトーンを明るく見せる手助けになるとされています。

しかし、水を飲むことが直接的な美白効果をもたらすわけではありません。

美白を目指すためには、日々の紫外線対策を徹底し、美白有効成分を含むスキンケアを取り入れ、健康的な生活習慣を心がけることが基本です。

水分補給は、あくまで美しい肌を育むための大切な土台作りと捉えましょう。

水をたくさん飲むとニキビも改善する？

水は、肌の乾燥を防ぎ、ターンオーバーをサポートし、老廃物の排出を促すなど、間接的にニキビの予防や改善に役立つ可能性があります。

しかし、水だけでニキビが治るわけではありません。

健康的な生活習慣を基本とし、正しいスキンケアをおこない、必要に応じて専門医の指導を受けることが、ニキビのない健やかな肌を目指すための最も確実な方法です。

水分補給は、肌の健康維持のための大切な土台作りの一つと捉えてください。

特定の水の方が美容効果は高い？

水素水やシリカ水など、特定の成分が含まれている水も美容や健康への効果が期待されています。

なかには、抗酸化作用やデトックス作用などが報告されている水もあります。

しかし、現時点では、特定の水が通常の水と比較して、すべての方に明確に高い美容効果を持つ科学的根拠は十分に確立されているとはいえません。

効果の感じ方には個人差があり、体質や生活習慣で異なります。

試したい方は、過度な期待はせず、まずは少量からはじめて自身にあうか見極めることが大切です。

基本となる毎日の水分補給は普通の水でおこなうことを優先するとよいでしょう。

まとめ

水をたくさん飲むことは、肌に栄養が届きやすくなる、老廃物が排出されやすくなる、ターンオーバーが正常化する、乾燥を防ぐという4つの美肌効果が期待できます。

ただし、ただ水を飲めば良いというわけではなく、正しい方法で継続することが重要です。

1日1.5～2リットルを目安に、こまめに少量ずつ飲むことを心がけましょう。

起床時、運動前後、入浴前後、就寝前といったタイミングで水分補給をすることで、より効果を実感しやすくなりますよ。

また、常温の水や白湯を選ぶことで、体に負担をかけずに水分を吸収できます。

冷たすぎる水や一度に大量に飲むこと、カフェイン飲料での水分補給は避けるようにしてください。

効果を実感するまでには個人差がありますが、多くの方が数週間から1か月程度で肌質の改善を感じ始めます。

最初は小さな変化かもしれませんが、継続することで確実に肌の状態は変わっていくでしょう。

高価な化粧品を使うことも大切ですが、内側からの水分補給という基本を忘れてはいけません。

今日から意識的に水を飲む習慣を始めて、うるおいのある美しい肌を手に入れましょう。

水分補給は、あなたの肌を内側から輝かせる最もシンプルで効果的な美容法なのです。