天然水とミネラルウォーター、結局何が違うの？

スーパーやコンビニの飲料水コーナーに行くと、ずらりと並んだペットボトルの数々に目移りしてしまいますよね。

「天然水」「ミネラルウォーター」「ナチュラルミネラルウォーター」……。

ラベルには似たような言葉が書かれていて、一体何が違うのかよくわからない、という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

実は、天然水とミネラルウォーターには明確な違いがあるんですよ。

それは、原水や処理方法、含まれるミネラルのバランスなど、私たちの健康や美容に関わる大切なポイントなんです。

この記事では、天然水とミネラルウォーターの違いについて、わかりやすく丁寧に解説していきます。

水選びで迷わなくなるように、それぞれの特徴やメリット、選び方まで詳しくお伝えしますので、ぜひ最後までお読みくださいね。

天然水とミネラルウォーターの基本的な違いとは

まず最初に、天然水とミネラルウォーターの基本的な違いを押さえておきましょう。

この2つは、簡単に言うと「どこまで人の手を加えているか」という点で大きく異なります。

天然水は自然のままの味わいを楽しめる水

天然水とは、特定の水源から採水した地下水を原水とし、最小限の処理だけを施した水のことです。

具体的には「沈殿」「ろ過」「加熱殺菌」の3つの処理のみが行われます。

それ以外の化学的な処理やミネラルの添加などは一切行われないため、自然が育んだミネラルバランスがそのまま残っているんですよ。

だからこそ、天然水は水本来のまろやかな口当たりや、自然な甘みを感じられるのが大きな魅力なんです。

ミネラルウォーターは加工・調整された水

一方、ミネラルウォーターは、天然水を原水としながらも、さらに加工や調整を加えた水のことを指します。

天然水における「沈殿」「ろ過」「加熱殺菌」に加えて、複数の水源から採水した水を混合したり、ミネラル成分を人工的に添加・調整したり、オゾン殺菌や紫外線殺菌、ばっ気処理などの追加の処理を行います。

これにより、味わいを整えたり、品質を安定させたりすることができるんです。

つまり、ミネラルウォーターは「より飲みやすく、より安定した品質にするために手を加えた水」と言えるでしょう。

ラベル表示で簡単に見分けられます

天然水とミネラルウォーターを見分ける一番簡単な方法は、ペットボトルのラベルを確認することです。

日本では、農林水産省の「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」に基づいて、原材料名や品名の表示が義務付けられています。

ラベルに「ナチュラルウォーター」や「ナチュラルミネラルウォーター」と記載されていれば、それは天然水です。

一方、「ミネラルウォーター」とだけ記載されている場合は、加工や調整が施された水だということがわかります。

また、採水地や製造者の情報も記載されているので、水の出どころや特徴を知りたい方は、ぜひラベルをじっくり読んでみてくださいね。

品質表示ガイドラインに基づく水の分類を知ろう

ここでは、もう少し詳しく水の分類について見ていきましょう。

農林水産省の「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」では、市販される水を4つのカテゴリーに分類しています。

ナチュラルウォーター

ナチュラルウォーターは、特定の水源から採水した地下水を原水とする水です。

処理方法は「沈殿」「ろ過」「加熱殺菌」の3つのみで、それ以外の物理的・化学的処理は一切行いません。

地下水に溶け込んだミネラルは含まれているものの、その含有量は比較的少ないのが特徴です。

ナチュラルミネラルウォーター

ナチュラルミネラルウォーターは、ナチュラルウォーターの中でも特に、地層中のミネラルが豊富に溶け込んだ地下水を原水とするものです。

処理方法はナチュラルウォーターと同じく「沈殿」「ろ過」「加熱殺菌」のみですが、ミネラル含有量が多いという点で区別されます。

日本国内で「天然水」として販売されている多くの商品は、このナチュラルミネラルウォーターに該当しますよ。

ミネラルウォーター

ミネラルウォーターは、ナチュラルミネラルウォーターを原水としながらも、品質の安定化や味の調整のために、さらなる処理や加工を施した水です。

具体的には、複数の水源から採水した水を混合したり、ミネラル分を人工的に添加・調整したり、オゾン殺菌や紫外線殺菌などの処理を行います。

こうした加工により、飲みやすさや品質の安定性が向上するんです。

ボトルドウォーター（飲用水）

ボトルドウォーターまたは飲用水は、上記の3つに該当しない、飲用可能な水全般を指します。

水道水や蒸留水、河川の表流水など、水源に制限はありません。

また、処理方法にも特に規定がないため、メーカーによって様々な加工が施されている場合があります。

ミネラルの添加やろ過、殺菌処理などが一般的に行われており、日本で市販される飲料水の一部がこのカテゴリーに含まれます。

天然水に含まれるミネラルと硬度の話

天然水やミネラルウォーターを選ぶ際に、もう一つ知っておきたいのが「ミネラル」と「硬度」についてです。

ミネラルは私たちの体に必要な栄養素

ミネラルとは、カルシウムやマグネシウム、ナトリウム、カリウムなど、人間の体に必要な栄養素の総称です。

骨や歯を形成したり、筋肉や神経の働きをサポートしたり、体内の水分バランスを維持したりと、健康を保つために欠かせない役割を果たしています。

天然水には、自然の恵みとして、これらのミネラルがバランス良く含まれているんですよ。

硬度とは何か

硬度とは、水1リットルあたりに含まれるカルシウムとマグネシウムの量を数値化したものです。

この硬度によって、水は「軟水」と「硬水」に分類されます。

世界保健機関（WHO）の定義では、次のように分類されています。

軟水

硬度が60mg/リットル未満の水を軟水と呼びます。

軟水は口当たりが柔らかく、まろやかな味わいが特徴です。

胃腸への負担が少ないため、赤ちゃんのミルク作りや日常的な飲用に適しています。

日本の天然水の多くは軟水で、和食の調理にもぴったりなんですよ。

中程度の軟水

硬度が60〜120mg/リットル未満の水は、中程度の軟水に分類されます。

軟水と硬水の中間的な性質を持ち、適度なミネラルを含んでいます。

硬水

硬度が120〜180mg/リットル未満の水を硬水と呼びます。

硬水はカルシウムやマグネシウムが豊富に含まれており、ミネラル補給に役立ちます。

ただし、人によってはお腹がゆるくなることがあるので、注意が必要です。

非常な硬水

硬度が180mg/リットル以上の水は、非常な硬水に分類されます。

ヨーロッパの一部地域や沖縄などで採水される水がこれに該当します。

ミネラルは豊富ですが、飲み慣れていないと消化器に負担をかけることがありますよ。

日本の天然水はほとんどが軟水

日本の国土は山が多く、地表に降り注いだ雨や雪は急な傾斜を駆け下りるように地下へと浸透します。

そのため、水が地層を通過する時間が短く、ミネラルが溶け込む時間も限られます。

また、日本の地質は火成岩が多く、ヨーロッパのような石灰岩が少ないため、カルシウムやマグネシウムの含有量が少ない軟水が生まれやすいんです。

一方、ヨーロッパは石灰岩層が豊富で、平坦な地形が広がっているため、水がゆっくりと時間をかけて地層を通過します。

その結果、ミネラルがたっぷり溶け込んだ硬水が多く採水されるんですよ。

天然水の採水地と特徴を知ろう

日本各地には、美味しい天然水が採水される名水地がたくさんあります。

採水地ごとに自然環境や地質が異なるため、水の味わいやミネラルバランスにも違いが生まれます。

富士山（山梨県・静岡県）

富士山麓で採水される天然水は、日本を代表する名水の一つです。

富士山に降り注いだ雨や雪は、長い年月をかけて玄武岩層をゆっくりと浸透し、天然のろ過を経て地下水となります。

その過程で、美容や健康に良いとされる「バナジウム」や「シリカ」といった希少なミネラルが豊富に溶け込むのが特徴です。

まろやかでほんのり甘みを感じる口当たりが魅力で、国内外で高い人気を誇っていますよ。

南阿蘇・阿蘇山（熊本県）

阿蘇山周辺で採水される天然水は、阿蘇山カルデラの広大な自然環境によって育まれた清冽な水です。

カルシウムやマグネシウム、ナトリウムがバランス良く含まれており、すっきりとした飲み口が特徴です。

九州地方を中心に高い評価を得ている名水地の一つですよ。

南アルプス（山梨県）

南アルプスで採水される天然水は、3,000メートル級の山々が育んだ雪解け水が源です。

豊かな自然環境の中で長い時間をかけてろ過された水は、ミネラルバランスが良く、爽やかな味わいが楽しめます。

北アルプス（岐阜県）

北アルプスの天然水は、標高の高い山岳地帯で採水されるため、非常に清らかで透明感のある水が特徴です。

自然のミネラルが適度に含まれており、飲みやすさが魅力です。

奥大山（鳥取県）

奥大山は、中国地方最高峰の大山の麓に位置する名水地です。

ブナの原生林に育まれた伏流水が源で、まろやかで優しい口当たりが特徴です。

島根（島根県）

島根の天然水は、長い歴史を持つ山岳地帯で採水されます。

カルシウムやマグネシウムがバランス良く含まれており、口当たりが非常にまろやかで、料理や飲料に適していますよ。

天然水とミネラルウォーター、それぞれのメリットとは

ここからは、天然水とミネラルウォーター、それぞれが持つメリットについて見ていきましょう。

天然水のメリット

自然のままのミネラルバランスを楽しめる

天然水は、沈殿・ろ過・加熱殺菌以外の処理を行わないため、自然が育んだミネラルバランスがそのまま残っています。

カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなど、体に必要なミネラルを自然な形で摂取できるのが魅力です。

まろやかで口当たりが良い

人工的な調整を加えていない天然水は、水本来のまろやかな味わいが楽しめます。

特に日本の天然水は軟水が多く、胃腸に優しく飲みやすいため、毎日の水分補給にぴったりですよ。

料理や赤ちゃんのミルク作りにも最適

軟水の天然水は、素材の旨みを引き出す力があるため、和食の調理に適しています。

また、消化器官が未発達な赤ちゃんにも優しいため、ミルク作りや離乳食作りにも安心して使えます。

美容と健康に良いミネラルが含まれている

富士山の天然水に含まれるバナジウムや、シリカなどの希少なミネラルは、美容や健康維持に役立つと注目されています。

毎日の水分補給を通じて、自然にこれらの栄養素を取り入れられるのは嬉しいポイントですね。

ミネラルウォーターのメリット

味わいが整えられていて飲みやすい

ミネラルウォーターは、複数の水源から採水した水を混合したり、ミネラル成分を調整したりすることで、より飲みやすい味わいに仕上げられています。

自分好みの味を見つけやすいのがメリットです。

品質が安定している

ミネラルウォーターは、製造過程で品質を安定させるための加工が施されているため、いつ飲んでも同じ味わいを楽しめます。

季節や採水時期による味のブレが少ないのも特徴ですよ。

目的に合わせたミネラル補給ができる

ミネラルウォーターの中には、特定のミネラルを強化した商品もあります。

カルシウムやマグネシウムを多く含む硬水タイプを選べば、効率的にミネラルを補給できるでしょう。

天然水とミネラルウォーターの安全性について

水を選ぶ際に気になるのが、やはり安全性ですよね。

日本で販売されている天然水やミネラルウォーターは、厳しい品質基準をクリアしているので安心です。

日本の水質基準は非常に厳しい

日本国内で販売される天然水やミネラルウォーターは、食品衛生法に基づく厳しい水質基準をクリアしています。

採水地の環境管理から製造工程、ボトリングまで、徹底した品質管理が行われているんですよ。

また、加熱殺菌やオゾン殺菌、紫外線殺菌などの殺菌処理も適切に施されているため、安全性は非常に高いと言えます。

水道水との比較

日本の水道水は、世界でもトップクラスの安全性を誇ります。

水道法に基づき、51項目もの水質基準をクリアしなければならず、「生涯飲み続けても健康に悪影響がない」ことが保証されています。

一方、ミネラルウォーターは食品衛生法で管理されており、検査項目は18種類です。

水道水と比べると検査項目は少ないものの、原水の品質が良く、適切な殺菌処理が施されているため、安心して飲用できます。

ただし、天然水やミネラルウォーターは水道水のように残留塩素が含まれていないため、開封後は雑菌が繁殖しやすいという点に注意が必要です。

開封後はなるべく早めに飲み切るようにしましょう。

海外の天然水は殺菌処理をしていない場合も

ヨーロッパの一部地域では、天然水を採水してそのままボトリングし、一切の殺菌処理を行わない商品もあります。

これは、原水本来の成分を変化させることが法律で禁止されているためです。

その代わり、ヨーロッパでは水源の環境基準が非常に厳格に定められており、水源の汚染を徹底的に防止することで安全性を確保しています。

天然水とミネラルウォーター、どちらを選ぶべき?

ここまで読んでいただいて、「結局、どちらを選べばいいの?」と悩んでいる方もいるかもしれませんね。

実は、天然水とミネラルウォーター、どちらが良いかは、用途や体質、好みによって変わってくるんです。

自然の味わいを楽しみたいなら天然水

水本来のまろやかな口当たりや、自然なミネラルバランスを楽しみたい方には、天然水がおすすめです。

特に、採水地ごとの個性を感じたい方や、料理や赤ちゃんのミルク作りに使いたい方には、軟水の天然水がぴったりですよ。

飲みやすさや安定した味を求めるならミネラルウォーター

飲みやすく調整された味わいや、いつでも同じ品質を楽しみたい方には、ミネラルウォーターが向いています。

また、ミネラル補給を目的とする場合は、硬度の高いミネラルウォーターを選ぶのも良いでしょう。

体質に合わせて硬度を選ぶことも大切

硬水は、人によってはお腹がゆるくなることがあります。

消化器が敏感な方や赤ちゃん、小さなお子さんには、軟水をおすすめします。

一方、ミネラルをしっかり補給したい方や、運動後の水分補給には硬水が適している場合もありますよ。

用途に合わせて使い分けるのもアリ

普段の飲用には飲みやすい軟水の天然水を選び、スポーツ後のミネラル補給には硬水のミネラルウォーターを選ぶなど、用途に応じて使い分けるのもおすすめです。

自分のライフスタイルに合わせて、柔軟に選んでみてくださいね。

天然水とミネラルウォーターに共通する注意点

天然水とミネラルウォーターには、どちらにも共通する注意点があります。

開封後は早めに飲み切ろう

天然水やミネラルウォーターには、水道水のような残留塩素が含まれていません。

そのため、開封後は雑菌が繁殖しやすく、日持ちしないという特徴があります。

開封後はなるべく早めに飲み切るようにし、直接口をつけたペットボトルは特に注意が必要ですよ。

硬水は体質によって合わないことも

硬水に含まれるマグネシウムは、人によってはお腹がゆるくなる原因となることがあります。

体質に合わない場合は、無理をせず軟水に切り替えることをおすすめします。

赤ちゃんのミルク作りには軟水を選ぼう

赤ちゃんの消化器官は未発達なため、ミネラル含有量の多い硬水は負担になることがあります。

赤ちゃんのミルク作りや離乳食には、必ず軟水を選ぶようにしましょう。

まとめ：自分に合った水を選んで、毎日を健やかに過ごしましょう

ここまで、天然水とミネラルウォーターの違いについて詳しく解説してきました。

天然水は自然のままのミネラルバランスを楽しめる水で、ミネラルウォーターは品質や味わいを調整した飲みやすい水です。

どちらにも魅力があり、どちらが優れているということはありません。

大切なのは、自分の体質や好み、用途に合った水を選ぶことなんですよ。

スーパーやコンビニで水を選ぶ際には、ぜひラベルをチェックして、「ナチュラルミネラルウォーター」なのか「ミネラルウォーター」なのかを確認してみてください。

採水地やミネラル成分、硬度にも注目すると、より自分に合った水が見つかりますよ。

毎日の水分補給は、健康と美容の基本です。

自分にぴったりの水を見つけて、毎日を健やかに、そして美味しく過ごしましょう。

あなたの水選びが、より豊かで健康的なライフスタイルへとつながることを願っています。